こんばんは。
今回はタイトル通り、愛知県の2009年以降の高校野球史を振り返りたいと思います。
私自身、高校まで愛知県で野球をしていたこともあり、シンプルに懐かしくなり振り返りたくなったため、この記事を書くに至りました。
愛知出身の人はもちろん、高校野球の好きな人にも懐かしい記事に仕上がったと思っております。
それでは、どうぞ!

●2009年
夏(選手権)-中京大中京 / 春(選抜)-中京大中京

最後の夏優勝を記録した2009年中京大中京。当時の主軸は現広島・堂林翔太内野手。エースで4番としてチームを優勝に導いた。
特に打者としては打率.522 1本塁打 12打点の大会成績を記録。春の甲子園も打率.583。
高3春の選抜甲子園大会時もエース兼主軸として活躍も、大会後に左ヒザを故障し夏の県大会直前まで療養。それまでは最速140キロの速球派だったが、怪我の影響で打たせて取る軟投派にスタイルチェンジ。
3年夏の甲子園でも40.1回を投げ防御率3.12と無難にまとめた。
当時の中京大中京打線は1番山中(主将)、3番河合完治(法政大-トヨタ自動車)、4番堂林、5番磯村(当時2年:広島東洋)、6番伊藤(U18高校代表)と歴代愛知代表の中でも屈指の打撃力を保持しており、堂林がのらりくらりと抑え、多少失点しても自慢の打線で破壊していく野球で勝ち進んだ。
特に3番河合は、2回戦の関西学院戦で当時注目を集めていた正捕手兼リリーフエースの山崎裕貴からサヨナラ本塁打を放った。
また、河合は甲子園準決勝で左横腹の怪我を押して途中登板した菊池雄星に引導を渡した。

後に法政大学に進学し4年次には主将として活躍した河合だが、大学時代にオープン戦で対決した広島・田中広輔(当時JR東日本)のプレーを見てレベルの差を実感し、プロ入りを諦めた。
●2010年
夏(選手権)-中京大中京 / 春(選抜)-中京大中京
この世代の主軸はやはり4番の磯村嘉孝(広島東洋)。2年夏から5番として夏の甲子園2本塁打で全国制覇に貢献。エース森本は2009年夏の甲子園決勝時の胴上げ投手。
エースの森本隼平は2年時点で最速145キロ、3年時点で最速147キロ。
打撃力も高く、3番投手として活躍。
夏の甲子園は2回戦で早稲田実業に6-21の歴史的大差で敗北。初回に2年生左腕浅野文哉が撃ち込まれ、5回に途中リリーフのエース森本が12失点。
この試合を最後に元々退任が決まっていた大藤監督が中京大中京を勇退。
エース森本は法政大学進学後は内野手に専念。
●2011年
夏(選手権)-至学館 / 春(選抜)-出場校無し
2011年の代表校・至学館は全員野球で初出場。
特に決勝の愛工大名電戦では相手先発の1年生東克樹(立命館大-DeNA)、2年生濱田達郎(中日)を攻略した。
2年生ながら4番の手崎椋介は県大会2本塁打の活躍。法政大に進学し野球を続けた。
また、エースの岩田も2年生。中学時代は軟式野球部で全国大会出場。
甲子園では東大阪大柏原に見せ場少なく敗退。
校歌がJ-POPっぽいと一時期話題になり、野球の印象よりそっちの印象の方が残っている人の方が多そう。
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●2012年
夏(選手権)-愛工大名電 / 春(選抜)-愛工大名電

花巻東-大谷翔平・大阪桐蔭-藤浪晋太郎ともに、高校BIG3と称されたドラフト1位候補左腕濱田達郎をエースとして確立した全国制覇を狙える仕上がりの2012年愛工大名電。
秋の神宮大会準優勝、春の甲子園ベスト8の実績を引っ提げ夏の県大会も勝ち進んだが、エースの浜田が3年春以降左肩の不調に悩まされ、甲子園でも本調子を発揮できず初戦敗退。
春選抜準々決勝の光星学院戦も、同点の8回に疑惑の判定があり、そこから走者一掃のランニングホームランを打たれ敗北。
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●2013年
夏(選手権)-愛工大名電 / 春(選抜)-出場校なし
この年は東克樹をエースとして甲子園に参戦。東は1年夏から名門愛工大名電のベンチ入りをし、2011年決勝では1年生ながら先発するなど名を轟かせており、当時から県内では有名な選手だったが全国的には無名。
初戦で聖光学院に敗退したこともあり、あまり注目されなかったが、立命館大学進学後にノーヒットノーランを記録するなど、目覚ましい活躍を続けDeNAドラフト1位指名。![愛知大会[第90回→第99回]ダイジェスト:達人に訊け!:中日新聞Web](https://plus.chunichi.co.jp/pic/456/p1/7749_0_06.jpg)

余談だが、東は甲子園で珍しいトリプルプレーを記録している。
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また、2013年は愛工大名電が夏の愛知県大会を勝ち抜いたが、優勝候補筆頭は東邦だった。2013年東邦は歴代最強クラスと評され、「200本打線」と称される1番から9番までの高校通算本塁打が200本以上という強力打線。
1番センターに関根大気(DeNA5位)、3番捕手に松井聖(信濃グランセローズ:2020年東京ヤクルト育成3位)、4番三倉進(早稲田大-日立製作所)などを擁し、投手陣も1年生から東邦の背番号1を担ってきた三倉の集大成、のちに中日育成ドラフト指名される石田健人マルクの牙城を擁すタレント軍団だった。
以下が当時の愛知高校野球スレである。
ここまでヨイショされると逆に予選敗退しそうで心配するスレ民
無事5回戦(ベスト16)で私学4強の享栄に敗北。
しかもまさかのコールド負け。
また、決勝の愛工大名電vs愛知黎明に東克樹が出場していたのは前述の通りだが、対戦相手の愛知黎明の3番ショートとして当時2年生の栗林良吏(名城大-トヨタ自動車-広島東洋)が出場。栗林は高2秋からエースとして投げていたが、投手として本格的に注目されたのは大学進学後。
●2014年
夏(選手権)-東邦 / 春(選抜)-豊川
愛知県民の記憶に未だ残るのが2014年春・豊川の快進撃(選抜ベスト4)だろう。
秋の東海大会準優勝を成し遂げ念願の選抜初出場。
エースの田中空良(東邦ガス)は最速148キロの直球とスプリット・スライダーを軸に安定感ある投球を披露。打線も1番中村(愛知大)と3番捕手の氷見(明治大-東邦ガス)を軸としたレベルの高いチーム。
選抜初戦では好投手飯塚悟史(DeNA)擁する優勝候補・日本文理を延長13回サヨナラで大金星。
最後佐藤が真ん中に入ったスライダーを思い切りフルスイングしたシーンで愛知が揺れた。
www.youtube.com準決勝の履正社戦も8回に一挙5得点であわや勝利が見えるなど、大健闘の春だった。
そんな豊川の夏を終わらせたのが、当時1年生の藤嶋健人(中日)擁する東邦高校。
1年次に東邦の背番号10を背負った藤嶋は、春の健闘からファンを集めた豊川を9回完投で撃破。最速145キロの直球を投げる1年生として県内に名を轟かせた。
甲子園ではクールなエースの大井(三菱自動車岡崎)と、雄叫びを上げる藤嶋の対比が強調され、熱闘甲子園でもスクープされた。
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●2015年
夏(選手権)-中京大中京 / 春(選抜)-豊橋工業
2015年の愛知高校野球といえば中京大中京・上野翔太郎だろう。
それまでは好投手とは言われつつも、プロが囁かれることはあまりなかった上野だったが、4番捕手の伊藤寛士(法政大-JR東海)は、準決勝の優勝候補・東邦戦で上野が覚醒したと話す。2年生となった藤嶋健人との投げ合いである。
初戦の岐阜城北戦で9回10奪三振完投勝利。球速は最速140キロ前後だが、キレのある直球を武器に全10奪三振を全て直球で奪い注目を上げる。
そして今でも好勝負と語り継がれる夏の甲子園3回戦・中京大中京vs関東第一。
オコエ瑠偉(楽天)擁す関東第一に対し、上野は8回まで無失点投球。
特に関東第一の正捕手・鈴木大智は中学時代に愛知西シニアでバッテリーを組んでいた親友同士。
最終的には関東第一の5番長島が甘く入った直球をサヨナラホームランで決着。
これだけの投手戦が、たった一振りで終わるという静けさもまた、野球の面白いところ。
その後U18日本代表に選出された上野は、高校代表のエースとして世界大会で18回を無失点に抑え続け、代表ながら脅威の防御率0.00を記録する。
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ちなみに春の選抜に21世紀枠で出場した豊橋工業・森 奎真投手も県内屈指の好投手だった。

●2016年
夏(選手権)-東邦 / 春(選抜)-東邦
2年前の夏、雄叫びで甲子園を沸かせた藤嶋健人のラストイヤー。
当時は力投派の投球が注目を集めていたが、最高学年になりエース・4番・主将の大黒柱として甲子園に乗り込んだ。
初戦の北陸戦では登板せず、背番号9の松山仁彦(東海大→東芝)が登板。
藤嶋は3年夏は県大会途中から肘の違和感で登板を極力抑えていたこともあり、あまりマウンドに上がらなかった。当初は温存策かと思われていたが、大会終了後に東邦の森田監督が藤嶋の故障を話した。
愛知県民にとって伝説になったのが2016年2回戦の光星学院戦。
7回表終了時点で2-9と7点ビハインドだったが。7回8回と少しずつ差を詰め、9回裏に一挙5得点で逆転サヨナラ勝ち。
定期的に見たくなる、この神試合。www.youtube.com


●2017年
夏(選手権)-中京大中京 / 春(選抜)-至学館
ガチであまり記憶がないが、夏の甲子園初戦で広陵・中村奨成から2本塁打を被弾し、大会記録となる6本塁打に大きく貢献した。
チームとしてはタレント集団であり、1番の伊藤康祐(中日)、4番の鵜飼航丞(駒大-中日)に加え、主戦格・背番号10の磯村峻平(U18日本代表-明治大-トヨタ自動車)と有名な選手を輩出した。
●2018年
夏(選手権)-西愛知:愛工大名電 /東愛知:愛産大三河 / 春(選抜)-東邦
夏は30年ぶりに1勝した愛工大名電。毎年地方大会はやけに強い割に、甲子園で即死するのがテンプレだったが、勝利したのが初出場の白山高校ということもあり、ノーカン説がスレでは流れている。当然の如く2回戦の報徳学園戦で終戦。名電が夏の甲子園に出場すると愛知県民は嫌な予感しかしない。
東愛知代表の愛産大三河は、2年生4番の上田希由翔(きゅうと)が甲子園出場。
上田希由翔は明治大学進学後、1年春から名門で不動の4番を務め続けるなど、強打の内野手で2023年ドラフト上位候補。
左の写真、滅茶苦茶打ちそう・・・笑
●2019年
夏(選手権)-誉 / 春(選抜)-東邦
2019年の愛知高校野球と言えば東邦。
3番エースの石川昂弥が春の甲子園タイ記録の3本塁打を記録し、愛知県勢としては2009年の中京大中京以来(堂林世代)の全国制覇。
投手としても決勝で散発3安打完封を記録するなど、全国にその実力を見せつけた。
2019年中日ドラフト1位。
4番ショートの熊田任洋も石川と共にU18高校日本代表に選出され、早稲田大学進学後も1年生から早稲田のショートのレギュラーを不動のものとしている。2023年ドラフト上位候補の内野手。
準決勝で決勝3ランホームランを放った2年生・吉納翼も卒業後早稲田大学に進学した。
東邦→早稲田ルートは、200本塁打打線と呼ばれた2013年東邦打線の4番三倉進の兄・三倉健(鳴門工業→早稲田大学)のツテで三倉進が進学し、その後熊田、吉納と立て続けに進学し、ルートを確立している。
しかし東邦は春の県大会でシード権を逃し、ノーシードで迎えた夏の県大会2回戦でセカンド私学の星城高校を相手にコールド負けを喫し終戦している。
2回戦で相対した星城のエース石黒は最速146キロの速球派。

夏は誉高校というセカンド私学がノーシードから優勝。
夏の甲子園は瞬殺されたため記憶なし。
●2020年
夏(選手権)-中京大中京(交流試合) / 春(選抜)-中京大中京(中止)
コロナの影響で甲子園が中止になった影響もあり、公式戦32勝0敗という無敵の成績で終了したのが2020年中京大中京。2019年秋の神宮大会優勝。
エースの高橋宏斗は世代最速の154キロ右腕でありながら、制球力にも優れ、縦のスライダー・カットボール・ツーシームと幅の広い変化球も優位に扱う好投手。昨年の石川に続いて中日ドラフト1位。
本人の希望は慶應大学進学だったが、まさかのAO入試不合格によりプロ志望へ変更。
滑り止めでドラフト1位とかいうとんでもない経歴である。
また、高橋以外の打撃陣もタレント揃いであった。
左のエースであり控え投手ながら最速147キロの松島元希(明治大)、強打の1番西村友哉(法政大)、走攻守で高校屈指の中山礼都(巨人ドラフト3位)、正捕手兼主将の印出太一(早稲田大)と、メンツは全国屈指であり、もしコロナがなければ確実に優勝候補として名を挙げていただろう。
現に公式戦32連勝と、県内では完全に無敵であった。
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●2021年
夏(選手権)-愛工大名電 / 春(選抜)-中京大中京
この年も有名どころの好選手が揃う。
春の甲子園ベスト4の中京大中京はプロ注目の畔柳 亨丞をエースとして擁す。
最速152キロを記録し、春の甲子園では27.1回を投げ1失点の防御率0.33。
2021年日本ハムドラフト5位。春の選抜での登板過多により、右肘の故障で評価を落としたが、プロで覚醒なるか。
夏の県大会では準決勝で愛工大名電に敗退。
9回3失点と好投したが、愛工大名電の好投手寺嶋を攻略できず。
愛工大名電の背番号1は田村俊介(広島4位)だったが、夏の主戦は背番号10の寺嶋大稀だった。最速147キロのストレートを武器にする好投手だったが、夏の甲子園では1回戦で東北学院に敗退。名電は夏に甲子園に出ると即死する傾向がある。
寺嶋はプロ志望届を提出するも指名漏れ。NTT東日本に入社。
エースで3番の田村俊介は明徳義塾中で大阪桐蔭・関戸康介との2枚看板で全国制覇。
愛工大名電進学後は1年夏から背番号1をつけた。打撃力・守備力も1年次から折り紙付きで、左投げながら守備力を買われ三塁手としてプレーすることもあった。
夏の甲子園では特大ホームランを放った。
また、甲子園には出場できなかったが、享栄・竹山日向も東京ヤクルトドラフト5位で指名を受けた好投手。最速151キロで、古豪・享栄復活の象徴的存在。
以上です。
愛知県は出場校が全国1,2を争うくらい多く、それだけ好選手やタレント揃いのチームができやすい傾向にあります。
色んな歴史を振り返ってみて、個人的にも楽しかったです。
これからの愛知県の高校野球にも期待です。